住宅地の除染
2011年8月以降、伊達市役所のチームが、市内全域で4ヶ月ごとに放射線量を計測しています。
より効率的に実施するため、除染は1kmメッシュごとに計測された線量に基づいて行われています。線量は、詳細な汚染状況の把握に役立ち、放射線量レベルに応じて、市域を3つのゾーン(A、B、C)に分割するのに用いられます。除染作業について設定された当初の目標は、年間放射線被曝線量を5ミリシーベルト(mSv)未満に引き下げることです。
以下の2枚の地図には、2011年8月の最初の線量計測と2014年3月に実施された9回目の線量計測で得られた結果が示されています。
伊達市一斉放射線量測定マップ
2011年8月19日~21日実施(第1回)
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2014年3月11日~15日実施(第9回)
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市民と除染プロジェクトについて話し合う
除染計画に関わってもらうために、市民とどのように話し合えばよいのか?伊達市民がすぐに、そして簡単に放射能に関するリスクと除染のメリットを把握できるよう、半澤隆宏は、除染の方法と目的を図にして、創意に富んだ説明資料を作成した。
たとえば、スライドでは、放射性物質は、家の周囲をうろつき、人を攻撃しようとしている野生動物に喩えられている。除染は、この動物を捕まえることになぞらえられた。廃棄物置場は、人々の安全を保つために動物が檻に入れられている公園として表現されている。
この取組は、自治体のチームが実施した傑出したアプローチ例である。新しいコミュニケーション方法に基づく対話を住民たちと進行形で行いながら、意思決定と業務遂行を共有したのだ。
継続したサポートで大きな改善
ICRP Publication 111の理念では、「食品の生産と消費を長期的に制限することは、汚染されたエリアの持続可能な発展に影響を与えることがある。そのため、最適な原理を適切に実行することが必要となる。地域の農業従事者や地域の住民の利益と、汚染エリア外の消費者と食品流通セクターの利益を一致させることを、細心の注意を払って行わなければならない」 とされている。仁志田市長は農業を継続することに決めた農家を支援した。日本中で受け入れられるだけでなく、その美味しさを賞賛されるような、安全な商品作物 - モモ、リンゴ、イチゴ、ブドウ、柿といった果樹類 - を生産することを視野にするのは最終的な目指であった。
毅然とした方針により、伊達市は大半の住民を留まらせることができた。 当時、市を離れることを決めたのは、わずか1,200名で、後に800名が戻ってきた。伊達市の住民の生活環境を回復させる仁志田市長の力量は、市役所チームとNPOの聡明な連携や、ベラルーシやノルウェーの汚染エリアに住む人々の体験から発想を得て自助的活動を生み出すひらめきに根ざしたものだった。
もう一つの要因は、伊達市役所をほとんどの回のダイアログセミナーの開催場所にし、そこで積極的な役割を担うという仁志田市長の揺るぎない関りである。これが、状況の人間的側面、特に復興プロセスにある地域に住む人々の尊厳を保つことの重要性の理解、そして地域、国家、国際的な連携にどれだけ貢献したかは計り知れない。